Chapter 5 Lemma 5.2.2
$0 \lt x \lt 1$である$x$を
$$\frac{1-x}{x+1}=\frac{\varphi\left(-q\right)^2}{\varphi\left(q\right)^2}=\Lambda\left(q\right)$$
を満たすものとして定める。この時以下が成り立つ。
$$1-x^2=\frac{\varphi\left(-q^2\right)^4}{\varphi\left(q^2\right)^4}=\Lambda\left(q^2\right)^2$$
まずA1〜A3として$x$の条件の式を定義します。
A1:(1-x)/(1+x)=phi(-q)^2/phi(q)^2;
A2:phi(-q)^2/phi(q)^2=Lambda(q);
A3:rhs(A2)=lhs(A1);
証明したい式をQ1, Q2として定義しておきます。
Q1:1-x^2=phi(-q^2)^4/phi(q^2)^4;
Q2:phi(-q^2)^4/phi(q^2)^4=Lambda(q^2)^2;
ラマヌジャンのテータ関数に関する既知の恒等式の中から今回使う以下のものをC1332, C367として定義しておきます。 $$\tag{$1.3.32$}\varphi\left(-q^2\right)^2=\varphi\left(-q\right)\,\varphi\left(q\right)$$ $$\tag{$3.6.7$}\varphi\left(q\right)^2+\varphi\left(-q\right)^2=2\,\varphi\left(q^2\right)^2$$
C1332:phi(-q^2)^2=phi(-q)*phi(q);
C367:2*phi(q^2)^2=phi(q)^2+phi(-q)^2;
証明に取り掛かります。まずQ2を示しますが、実はこれは簡単です。A2で$q$を$q^2$で置き換えて、両辺を二乗すれば良いのです。
subst(q^2,q,A2)^2;
次にQ2の左辺を式変形して$1-x^2$にすることでQ1を示します。
Q3:lhs(Q2);
この式の分子を、C1332の両辺を二乗したものを使って書き換えます。さらに分母をC367の両辺を2で割ってから2乗したものを使って書き換えます。
Q4:Q3,C1332^2;
Q5:Q4,(C367/2)^2;
ここからは上記式の分子と分母をそれぞれ$\varphi(q)^4$で割る、という式変形を行います。まず分子はそのまま割ります。
Q6:num(Q5)/phi(q)^4;
上記式をA2を使って$\Lambda(q)$の式にします。
Q7:4*ev(Q6/4,A2);
分子は一旦二乗を外した式を$\varphi(q)^2$で割ります。
Q8:expand(sqrt(denom(Q5))/phi(q)^2);
上記式をA2を使って$\Lambda(q)$の式にします。
Q9:ev(Q8,A2)^2;
結局$\frac{\varphi\left(-q^2\right)^4}{\varphi\left(q^2\right)^4}$は以下の式に等しいことが分かりました。
Q10:Q7/Q9;
上記式をA3を使って、$\Lambda(q)$を$\frac{1-x}{1+x}$で置き換えます。
Q10,A3;
この式を整理すると所望の式が得られます。
ratsimp(%);
この本に載っている証明は上記の通りなのですが、もう少し自然な式変形もやってみました。A1を$x$について解いて、それを$1-x^2$に代入して変形することでQ1を得る、という方針です。
A1;
solve(A1,x);
1-x^2,%;
ratsimp(%);
factor(%);
明らかに上記式にC1332とC367を適用することが可能です。
%,(2*rhs(C1332))^2=(2*lhs(C1332))^2;
%,rhs(C367)=lhs(C367);
これでQ1を示すことができました。