Chapter 5 Lemma 5.2.3
$m$を$0$以上の整数として、$n=2^m$であるとき、次式が成り立つ:
$$F\left(\frac{\varphi\left(-q\right)^4}{\varphi\left(q\right)^4}\right)=F\left(\frac{\varphi\left(-q^{n}\right)^4}{\varphi\left(q^{n}\right)^4}\right)^{n}$$
ただし$F(x)$は、 $$F(x)=exp\left(-\pi\,\frac{{}_2 F_1\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;1-x\right)}{{}_2 F_1\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;x\right)}\right)$$ $\varphi(q)$はラマヌジャンのテータ関数の特別な形の1つです。
この補題の証明にはすでに証明した以下の式を使います。 厳密には以下のA1は$x$の恒等式、A4は$q$の恒等式、A2が成り立つ$x, q$についてA3が成り立つことが証明済です。
A1:F(x^2)=F(4*x/(1+x)^2)^2;
A2:(1-x)/(1+x)=Lambda(q);
A3:1-x^2=Lambda(q^2)^2;
A4:Lambda(q)=phi(-q)^2/phi(q)^2;
まずA1の$x$に$\frac{1-x}{1+x}$を代入します。
G1:subst((1-x)/(1+x),x,A1);
右辺だけ引数を簡約します。
G2:lhs(G1)=ratsimp(rhs(G1));
A2の両辺を自乗した式とA3を上記の式に代入します。
G3:G2,A2^2,A3;
これで$m=1$の場合が証明できました。この両辺を自乗し、$q$に$q^2$を代入してみます。
G4:subst(q^2,q,G3)^2;
G3の右辺とG4の左辺が同じですから、それを用いて等式を変形します。
G5:G3,G4;
これで$m=2$の場合が証明できました。 次にG4の両辺を自乗し、$q$に$q^2$を代入します。
G6:subst(q^2,q,G4)^2;
G5右辺とG6の左辺が同じですから、それを用いて等式を変形します。
G7:G5,G6;
これで$m=3$の場合が証明できました。これを続けると(厳密には数学的帰納法で)任意の整数$m>0$について次の式が成立することが証明できます。
G8:F(Lambda(q)^2)=F(Lambda(q^(2^m))^2)^(2^m);
G9:subst(n,2^m,G8);
A4及びA4の$q$に$q^n$を代入したものを使うと、上記G9より、下記の式を得ることができました。
G10:G9,A4,subst(q^n,q,A4);