$-1\lt q \lt 1$の範囲でラマヌジャンのテータ関数の1つ$\varphi(q)$を
$$\varphi(q)=\sum_{n=-\infty}^{\infty}q^{n^2}$$
と定義しました。
Chapter 5 Lemma 5.2.6
$$_2 F_1\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;1-\frac{\varphi\left(-q\right)^4}{\varphi\left(q\right)^4}\right)=\frac{\varphi\left(q\right)^2}{\varphi\left(q^2\right)^2}\, _{2}F_1\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;1-\frac{\varphi\left(-q^2\right)^4}{\varphi\left(q^2\right)^4}\right)$$
が成り立つ。
この証明には以前に証明した結果をいくつか使うのでここに記載しておきます。
Lemma 5.2.2 における$x$の定義式:$\frac{1-x}{1+x}=\frac{\varphi(-q)^2}{\varphi(q)^2}$
と結論の式:$1-x^2=\frac{\varphi(-q^2)^4}{\varphi(q^2)^4}$
テータ関数の恒等式:$\varphi\left(-q^2\right)^2=\varphi\left(-q\right)\,\varphi\left(q\right)$
Corollary 5.1.7 $F\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;1-\frac{\left(x-1\right)^2}{\left(x+1\right)^2}\right)=(1+x)\,F\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;x^2\right)$
Lemma 5.2.2で$x$を$0 \lt x \lt 1$の範囲で定義しました。ここでは$0 \lt x$を使うのでそれを宣言します。また上記の式を式変形で使えるようにMaximaのセッションの中で定義しておきます。
assume(x>0);
L522A:-(x-1)/(1+x)=phi(-q)^2/phi(q)^2;
L522R:1-x^2=phi(-q^2)^4/phi(q^2)^4;
F1332:phi(-q^2)^2=phi(-q)*phi(q);
C517:hypergeometric([1/2,1/2],[1],1-(1-x)^2/(x+1)^2)=(1+x)*hypergeometric([1/2,1/2],[1],x^2);
最後に定義したC517から式変形を始めます。
F1:C517;
次にL522Aをこの式変形で使える形にします。
F2:1-L522A^2;
左辺の第3引数にF2の等式を代入します。
F3:F1,F2;
右辺の第3引数($x^2$の部分)に1からL522Rの両辺を引いた等式を代入します。
F4:F3,1-L522R;
この式の右辺に$(x+1)$が残っています。これを片付ければ所望の式が得られます。L522Aの分母と分子をひっくり返し、L522Rを辺辺にかけます。
1/L522A*L522R;
左辺を整理します。
factor(%);
F1332の二乗を辺辺に掛けます。
%,F1332^2;
両辺の平方根を取ります。$0\lt x$を宣言してあるので絶対値記号は付きません。
sqrt(%);
得られた式を用いてF4の右辺に残る$x+1$を書き換えます。
F4,%;
これで証明が終了しました。