$-1\lt q \lt 1$の範囲でラマヌジャンのテータ関数の1つ$\varphi(q)$を
$$\varphi(q)=\sum_{n=-\infty}^{\infty}q^{n^2}$$
と定義しました。また、
$0\lt x \lt 1$の範囲で関数$F(x)$を
$$F(x)=exp\left(-\pi\,\frac{{}_2 F_1\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;1-x\right)}{{}_2 F_1\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;x\right)}\right)$$
と定義しました
Chapter 5 Theorem 5.2.8
$q=F(x)$として
$$\varphi\left(q\right)^2=_2 F_1\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;x\right)$$
が成り立つ。
この証明にはLemma 5.2.7の式を使うので再掲します。 $$_2 F_1\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;1-\frac{\varphi\left(-q\right)^4}{\varphi\left(q\right)^4}\right)=\varphi\left(q\right)^2$$
F1:hypergeometric([1/2,1/2],[1],1-phi(-q)^4/phi(q)^4)=phi(q)^2;
F2:F1,q=F(x);
F3:phi(-q)^4/phi(q)^4=u,q=F(x);
F4:F2,F3;
Lemma 5.2.7の式から始めて上記F4の式を得ることができました。これはF4として覚えておくことにします。 そして、今度は定理5.2.5を思い出し、式変形を行います。
F5:F(1-phi(-q)^4/phi(q)^4)=q;
F6:F5,q=F(x);
F7:F6,F3;
F8:F(x):=exp(-%pi*hypergeometric([1/2,1/2],[1],1-x)/hypergeometric([1/2,1/2],[1],x));
F9:F7,F8;
F10:log(F9)/(-%pi);
定理5.2.5の式から始めて式変形で上記F10の式が得られました。
F4から、仮に任意の$x, 0\lt x \lt 1$について$$\tag{A} _2 F_1\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;x\right)=_2 F_1\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;1-u\right)$$が成り立てば定理5.2.8の式が得られます。そこで式$(A)$を証明することにします。その証明に上記のF10を使います。
背理法を使います。ある$x=x_0$で$(A)$が成り立たないと仮定します。その時の$u$の値はF3を使えば計算できますが、ここでは$u_0$とします。$(A)$が成り立たないのですから、$x_0 \neq 1-u_0$、従って$x_0 \gt 1-u_0$か$x_0 \lt 1-u_0$のどちらかです。仮に$x_0 \lt 1-u_0$とすると、超幾何関数$_2 F_1\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;x\right)$の$0\lt x \lt 1$での単調増加性(証明は別途必要ですが)から
$$_2 F_1\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;x_0\right) \lt _2 F_1\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;1-u_0\right)$$
この不等式の両辺はF10で$x=x_0$とした時の分母です。従ってF10が成り立つためには分子側で
$$_2 F_1\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;1-x_0\right) \lt _2 F_1\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;u_0\right)$$
が成り立たなければなりません。再びこの超幾何関数の単調増加性により、
$$1-x_0 \lt u_0$$
がわかります。これは明らかに仮定した$x_0 \lt 1-u_0$と矛盾します。
また$x_0 \gt 1-u_0$を仮定しても同様の矛盾が生じます。これらから背理法の仮定は間違っていることが分かり、$(A)$はどんな$x$についても成り立つことがわかりました。
F4と$(A)$より定理の式が成り立つことが分かりました。