準備として$0\lt x \lt 1$の範囲で関数$F(x)$を
$$F(x)=exp\left(-\pi\,\frac{{}_2 F_1\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;1-x\right)}{{}_2 F_1\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;x\right)}\right)$$
と定義します。
Chapter 5 Corollary 5.2.1
$0 \lt x \lt 1$の時
$$F(x^2)=F\left(\frac{4\,x}{(1+x)^2}\right)^2$$
今回はこの補題を証明していきます。
F(x):=exp(-%pi*hypergeometric([1/2,1/2],[1],1-x)/hypergeometric([1/2,1/2],[1],x));
証明するべき式を確認します。
F(x^2)=F(4*x/(1+x)^2)^2;
Corollary 5.1.7で示した式 $$F\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;1-\frac{\left(x-1\right)^2}{\left(x+1\right)^2}\right)=(1+x)\,F\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1;x^2\right)$$ において、$x$を$\frac{1-x}{1+x}$で置換します。
Col517:hypergeometric([1/2,1/2],[1],1-((x-1)/(x+1))^2)=(1+x)*hypergeometric([1/2,1/2],[1],x^2);
C2:subst((1-x)/(1+x),x,Col517),ratsimp;
右辺の引数を因数分解します。
C3:substpart(factor(part(C2,2,1,2,3)),C2,2,1,2,3);
因数分解した部分について以下の式が成り立つので、左辺で置き換えます。
A=factor(A),A=1-4*x/(x+1)^2;
C4:substpart(1-4*x/(x+1)^2,C3,2,1,2,3);
Theorem 5.1.6では楕円積分$K(k)$について$K(\frac{2\,\sqrt{x}}{x+1})=(x+1)\,K(x)$ を示しました。これを超幾何関数の言葉で書くと以下の式になるのでした。
C5:(x+1)*hypergeometric([1/2,1/2],[1],x^2)=hypergeometric([1/2,1/2],[1],4*x/(x+1)^2);
%o7の両辺を%o8の両辺で割って両辺を入れ替えると以下の式を得ます。
C6:rhs(C4)/rhs(C5)=lhs(C4)/lhs(C5);
両辺に$-\pi\,(x+1)$を掛けてから指数関数に代入すると以下の式を得ます。これは証明するべき式そのものです!
exp(-%pi*lhs(C6)*(x+1))=exp(-%pi*rhs(C6)*(x+1));
念のため確認しておきましょう。
F(4*x/(x+1)^2)^2=F(x^2);