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以下のDFはガウス超幾何関数$F(x)={}_2F_1(a,b;c;z)$が満たす超幾何微分方程式です。
DF:(x-x^2)*diff(F(x),x,2)+((-b-a-1)*x+c)*diff(F(x),x)-a*b*F(x)=0;
以下のDF1は公式の左辺$F(z)={}_2F_1\left(a,b;\frac{a+b+1}{2};z\right)$が満たす微分方程式です。超幾何微分方程式の$c$に$\frac{a+b+1}{2}$を代入して得られます。
DF1:subst_parallel([c=(a+b+1)/2,x=z],DF);
公式の右辺を$G(z)={}_2F_1\left(\frac{a}{2},\frac{b}{2}; \frac{a+b+1}{2}; 4\,z\,(1-z)\right)$とします。またこの右辺で$w=4\,z\,(1-z)$とした$g(w)={}_2F_1\left(\frac{a}{2},\frac{b}{2}; \frac{a+b+1}{2}; w\right)$とします。次の式が成り立ちます。 $$G(z)=g(w)$$ 以下のDF2は$g(w)$が満たす微分方程式です。
DF2:subst_parallel([F=g,a=a/2,b=b/2,c=(a+b+1)/2,x=w],DF);
ここからは$G(z)$の1階微分、2階微分を計算し、それらをDF1の左辺の$F(z)$に代入して整理すると$0$になること、従って$G(z)$もDF1を満たすことを示します。
まず$\frac{d}{d\,z}\,G(z)$を、合成関数の微分および$w=4\,z\,(1-z)$を使って計算し、結果をD1とします。
depends(w,z);
D0:G(z)=g(w);
diff(G(z),z)=diff(g(w),w)*diff(w,z);
D1:%,diff(w,z)=diff(4*(1-z)*z,z);
D1を微分することで$G(z)$の2階微分を計算します。またこの段階で$z$と$w$の関係式を使うことで計算結果から$z$を消去しておきます。その結果をD2とします。
diff(D1,z);
DD:%,diff(diff(g(w),w),z)=diff(diff(g(w),w),w)*diff(4*(1-z)*z,z);
EL:eliminate([k=(4*(1-z)-4*z)^2,w=4*z-4*z^2],[z,k]);
D2:subst(EL[1],(4*(1-z)-4*z)^2,DD);
DF1の左辺の$F(z)$に$G(z)$を代入してみます。
lhs(DF1),F=G;
すでに求めた$G(z)$の1階微分、2階微分、及び定義式そのものを上記の式に代入し、DF3とします。
DF3:%,D1,D2,D0;
DF3は3つの項の和になっています。それぞれの項に含まれる変数$z$を$w$の式に置き換えることで消去します。
DF31:args(DF3)[1],z-z^2=w/4,ratsimp;
factor(args(DF3)[2]);
DF32:%,(2*z-1)^2=1-w;
DF33:args(DF3)[3];
等式変形の結果のDF31, DF32, DF33を足すことでDF3と等しい式を求めます。
DF31+DF32+DF33;
上記の式からDF2の左辺を4倍した式(それはゼロなのですが)を引いてみます。
%-lhs(DF2)*4;
ratsimp(%);
これでDF3が実は$0$と等しいこと、従って$G(z)$はDF1を満たすことが証明できました。
最後に$F(0)=G(0), F'(0)=G'(0), F''(0)=G''(0)$を示します。これらは定義に戻って示しても良いのですが、面倒なので、これらの微分係数を全てMaximaで数式計算して等しいことを示します。
F(x):=hypergeometric([a,b],[(a+b+1)/2],x);
define(DF(x),diff(F(x),x));
define(DDF(x),diff(F(x),x,2));
[F(0),DF(0),DDF(0)],ratsimp;
G(x):=hypergeometric([a/2,b/2],[(a+b+1)/2],4*x*(1-x));
define(DG(x),diff(G(x),x));
define(DDG(x),diff(G(x),x,2));
[G(0),DG(0),DDG(0)],ratsimp;
確かに[F(0),DF(0),DDF(0)]と[G(0),DG(0),DDG(0)]は一致していますから、これで全ての証明が終了しました。