定理 $P(q), q, z, x, y, X, A_k$が$P(q)=1-24\,\sum_{n=1}^{\infty}\frac{n\,q^n}{1-q^n}$, $q=e^{-y}, z= {}_{2}F_{1}(\frac12,\frac12;1;x)$, $y=\pi\,\frac{{}_{2}F_{1}(\frac12,\frac12;1;1-x)}{{}_{2}F_{1}(\frac12,\frac12;1;x)}$, $X=4\,x\,(1-x), A_k=\frac{\left(\frac12\right)_k^3}{k!^3}$として以下の式が成り立ちます。
$$P(q^2)=(1-2\,x)\sum_{k=0}^{\infty}(3\,k+1)\,A_k\,X^k$$
証明の方針は、 $$P(q^2)=(1-2\,x)\,z^2 + 6\,x\,(1-x)\,z\,\frac{dz}{dx}$$ に、 $$z^2={}_3F_2(\frac12,\frac12,\frac12;1,1;X)=\sum_{k=0}^{\infty}A_k\,X^k$$ 及びそれを$x$で微分した、 $$2\,z\,\frac{dz}{dx}=4\,(1-2\,x)\sum_{k=0}^{\infty}A_k\,k\,X^{k-1}$$ を代入して整理します。
まず、$X,z$は$x$に依存しており、微分でその関係を使うのでこの依存関係を宣言します。
depends([X,z],x);
クローゼンの公式の特殊な場合を思い出します。それは${}_2F_1(\frac12,\frac12;1;x)^2={}_3F_2(\frac12,\frac12,\frac12;1,1;4\,x\,(1-x))$というものでした。定理の設定から、左辺は$z^2$になります。また$X=4\,x\,(1-x)$から右辺は${}_3F_2(\frac12,\frac12,\frac12;1,1;X)$になります。さらに一般超幾何関数の級数展開は${}_3F_2(a,b,c;d,e;z)=\sum_{k=0}^{\infty}\frac{(a)_k\,(b)_k\,(c)_k\,z^k}{(d)_k\,(e)_k\,k!}$でしたから$a=b=c=\frac12, d=e=1$を代入すると、$(1)_k=k!$に注意して、 $${}_3F_2(\frac12,\frac12,\frac12;1,1;X)=\sum_{k=0}^{\infty}\frac{\left(\frac12\right)_k^3}{k!^3}\,X^k$$ となります。級数の係数は定理の前提で$A_k=\frac{\left(\frac12\right)_k^3}{k!^3}$でしたから以下の式$CL$が成り立つことがわかりました。
CL:z^2=sum(A[k]*X^k,k,0,inf);
両辺を$x$で微分します。得られた式を$CL1$とします。
CL1:diff(CL,x);
$X$の$x$による微分を計算して代入してみます。得られた式を$CL2$とします。
CL2:subst(ev(diff(X,x),X:4*x*(1-x)),diff(X,x),CL1),factor;
定理5.4.9で証明した以下の式を思い出しましょう。
TH549:P(q^2)=(1-2*x)*z^2+6*x*(1-x)*z*diff(z,x);
$CL2$の両辺を$2\,z$で割れば$\frac{d}{dx}z$が得られます。これをTH549に代入した結果を$CL3$とします。
CL3:TH549,CL2/(2*z);
$CL3$の以下の部分式に注目します。
CL31:part(CL3,2,2,1);
$12\,(1-x)\,x\,(2\,x-1)=3\,(2\,x-1)\,4\,(1-x)\,x=3\,(2\,x-1)\,X$であることから以下のように整理できます。
CL32:CL31*X/(4*x*(1-x));
$X$は$k$とは関係ないので、そのままintosum()を使って総和記号の中に持ち込むことが出来ます。
CL33:intosum(CL32);
従って$CL3$を以下のように書き直すことが出来ます。これを$CL4$とします。
CL4:substpart(CL33,CL3,2,2,1);
右辺第一項の中の$z^2$は$CL$を使って書き換えることが出来ます。
CL5:CL4,CL;
後は因数分解して、
CL6:CL5,factor;
総和記号を1つにまとめれば証明したかった式を得られました。
CL7:substpart(sumcontract(intosum(part(CL6,2,1,1))),CL6,2,1,1);