定理 $A_k=\frac{\left(\frac12\right)_k^3}{k!^3}$として
$$\frac{16}{\pi}=\sum_{k=0}^{\infty }{\frac{\left(42\,k+5\right)\,A_{k}}{2^{6\,k}}}$$
証明の方針は以下の通りです。前回に得られた以下のアイゼンシュタイン級数の2つの式で$n=7$の場合を計算していきます。
$$ \tag{${A1}$}P\left(e^ {- 2\,\pi\,\sqrt{n} }\right)=\left(1-2\,x_{n}\right)\,\sum_{k=0}^{\infty }{\left(3\,k+1\right)\,A_{k}\,X_{n}^{k}}$$
$$ \tag{${A2}$}\frac{6\,\sqrt{n}}{\pi}-P\left(e^ {- \frac{2\,\pi}{\sqrt{n}} }\right)=n\,P\left(e^ {- 2\,\pi\,\sqrt{n} }\right) $$
ただし以下の3つの事実を証明抜きで使うことにします。
$$\tag{${A3}$}7\,P\left(e^ {- 2\,\sqrt{7}\,\pi }\right)-P\left(e^ {- \frac{2\,\pi}{\sqrt{7}} }\right)=\frac{27\,\sqrt{7}\,z_{7}^2}{8}$$
$$1-2\,x_{7}=\frac{3\,\sqrt{7}}{8}$$
$$X_7=\frac{1}{2^6}$$
ここで$z_7^2=\sum_{k=0}^{\infty}A_k\,X_7^k$です。また$X_n=4\,x_n\,(1-x_n)$でした。上記の値でこれが成立していることは簡単に確認できるので、証明抜きで使うのは実際は2つの事実ということになります。
証明の流れは、まず$A2, A3$から$P\left(e^ {- 2\,\pi\,\sqrt{n} }\right)$を求めます。その結果と$X_7, x_7$を$A1$に代入して整理すると定理を証明することができます。
まず前回証明した2つの式を$A1, A2$として再掲します。
A1:P(exp(-2*%pi*sqrt(n)))=(1-2*x[n])*sum((3*k+1)*A[k]*X[n]^k,k,0,inf);
A2:6*sqrt(n)/%pi-P(exp(-2*%pi/sqrt(n)))=n*P(exp(-2*%pi*sqrt(n)));
またラマヌジャンが導入した$f_n(q)$という関数を以下のように定義します。
f[n](q):=n*P(q^(2*n))-P(q^2);
証明抜きで使う最初の事実は次のように表すことができます。この式を$A3$とします。
A3:f[7](exp(-%pi/sqrt(7)))=27*sqrt(7)/8*z[7]^2;
$A2$で$n=7$の場合を計算して結果を$A4$とします。
A4:A2,n:7;
$P\left(e^ {- \frac{2\,\pi}{\sqrt{7}} }\right), 7\,P\left(e^ {- 2\,\sqrt{7}\,\pi }\right)$を変数と見立てて$A3, A4$を連立1次方程式として解きます。
SOL:solve([A3,A4],[P(exp(-2*sqrt(7)*%pi)), P(exp(-2/sqrt(7)*%pi))]);
A5:SOL[1][1];
$A1$で$n=7$とした式を計算し、上記の結果を代入します。
A6:A1,n:7;
A7:A6,A5;
%,expand;
$z_7^2$にその級数展開を代入します。
%,z[7]^2=sum(A[k]*X[7]^k,k,0,inf);
%*16*sqrt(7),expand;
A8:%-first(lhs(%));
級数の項を全て右辺に集めて整理すると目的の式の片鱗が見えてきます。
A9:factor(sumcontract(intosum(A8)));
$X_7=\frac{1}{2^6}$を代入します。
A10:A9, X[7]=1/2^6;
事実その2の式を$x_7$について解きます。
1-2*x[7]=3*sqrt(7)/8;
SOL2:solve(%,x[7]);
結果を$A10$に代入します。
A11:A10,SOL2;
A12:radcan(A11);
整理して両辺を$3$で割れば証明は終了します。
A13:ratsimp(intosum(A12/3));