$A_k=\frac{\left(\frac12\right)_k^3}{k!^3}$として次式が成り立つ。
$$\frac{1}{\pi}=\sum_{k=0}^{\infty}((8-5\,\sqrt{2})\,k+3-2\,\sqrt{2})\,A_k\,(2\,\sqrt{2}-2)^{3\,k}$$
証明は次の一群の式$T1\sim T5, A1, A2$から上記式を導きます。このブログでは$T1, A1, A2$は証明していませんがそれら以外は証明してきました。$T1$は証明済みの$T2$と同様にして証明できると思います。$A1, A2$はモジュラー等式の理論から出てくるはずですが、ここでは正しいこととします。ただしこれらの式で使われている変数の定義は以下の通りです。 $z={}_2F_1\left(\frac12,\frac12;1;x\right), \,X=4\,x\,(1-x), \,X_n=4\,x_n\,(1-x_n)$
depends(z,x);
T1:P(q^4)=(1-5/4*x)*z^2+3*x*(1-x)*z*diff(z,x);
T2:P(q^2)=(1-2*x)*z^2+6*x*(1-x)*z*diff(z,x);
T3:n*P(exp(-2*%pi*sqrt(n)))+P(exp(-2*%pi/sqrt(n)))=6*sqrt(n)/%pi;
T4:P(exp(-2*%pi*sqrt(n)))=(1-2*x[n])*sum((3*k+1)*A[k]*X[n]^k,k,0,inf);
T5:z^2=sum(A[k]*X^k,k,0,inf);
A1:[x[1/n]=1-x[n],z[1/n]=sqrt(n)*z[n]];
A2:x[2]=(sqrt(2)-1)^2;
まず$T1, T2$から微分の項を消去する形で式変形します。
P1:T1*2-T2,ratsimp;
この式の$q$に$e^{-\frac{\pi}{\sqrt{n}}}$を代入します。この時$x, z$は$x_{\frac{1}{n}}, z_{\frac{1}{n}}$になることに注意します。
P2:P1,q=exp(-%pi/sqrt(n)),x:x[1/n],z:z[1/n];
添字の関係式$A1$を使って整理し、$n=2$を代入して整理します。
P3:P2,A1,n=2,ratsimp;
今度は$T3$の式で$n=2$とすることでとて、もよく似たでも第2項の符号が異なる式を導きます。
P4:T3,n=2;
P3とP4を加えて4で割れば$P\left(e^ {- 2^{\frac{3}{2}}\,\pi }\right)$が求まります。
P5:(P3+P4)/4,A2,ratsimp;
$T5$はクローゼンの公式そのものですが、これは$z=z_n,x=x_n,X=X_n$で成り立つ式であり、特に$n=2$でも成り立ちます。
P6:ev(T5,z:z[n],X:X[n]),n:2;
P6として求めた$z_2^2$をP5に代入します。
P7:P5,P6,ratsimp;
一方、$T4$で$n=2$とすると上記の式の左辺を少し異なる級数で表すことができます。
P8:T4,n=2;
得られた式の$x_2$に式$A2$で示される値を代入します。
P9:P8,A2;
P7とP9を見比べてみると左辺は同じですから、右辺同士が等しいと置くことができます。
P10:P9,P7;
全体を展開してみます。
P10,expand;
上記式の左辺の第3項だけに$\pi$が含まれています。そこでそれ以外の項を全て右辺に移項します。
%-part(%,1,1)-part(%,1,2);
intosum()を使って総和記号についている係数を総和記号の中に移し、さらにsumcontract()を使って全ての総和記号を1つに統合します。
intosum(%);
sumcontract(%);
元々総和記号の中の全ての項は$A_k\,X_2^k$と数字の積になっています。そこでfactor()を使って因数分解を試みてみます。
%,factor;
$X_2=4\,x_2\,(1-x_2)$でしたからこれを代入します。
%,X[2]=4*x[2]*(1-x[2]);
両辺を$\frac{\sqrt{2}\,\pi}{3}$倍し、式$A2$を使って$x_2$に値を代入します。結果の式に因数分解を試みます。
%*sqrt(2)/3,A2,factor;
これで証明終了です!!
証明したい式はこちらでした。
$$\frac{1}{\pi}=\sum_{k=0}^{\infty}((8-5\,\sqrt{2})\,k+3-2\,\sqrt{2})\,A_k\,(2\,\sqrt{2}-2)^{3\,k}$$
$2^k\,4^k=2^{3\,k}$、$2^{\frac{3}{2}}=2\,\sqrt{2}$及び総和記号の前のマイナス符号に気をつければ証明したい式と一致することが簡単にわかります。
最後に右辺を40項まで計算してある程度右辺と数値が一致することも確認してみましょう。
subst(40,inf,%);
%,A[k]=pochhammer(1/2,k)^3/k!^3;
%,nouns,numer;