定理 ラマヌジャンのテータ関数$f(-q)=\prod_{n=1}^{\infty}(1-q^n)$について$a,b\gt 1$, $a\,b=\pi^2$の時次の変換公式が成り立つ:
$$ b^{\frac{1}{4}}\,e^ {- \frac{b}{12} }\,f\left(-e^{- 2\,b\,n }\right)=a^{\frac{1}{4}}\,e^ {- \frac{a}{12} }\,f\left(-e^ {- 2\,a\,n }\right)$$
証明の方針はデデキントのイータ関数$\eta\left(z\right)=e^{\frac{i\,\pi\,z}{12}}\,\prod_{n=1}^{\infty }{\left(1-e^{2\,i\,\pi\,n\,z}\right)}$の保型性を表す次の式から式変形で導きます。 $$\eta\left(-\frac{1}{z}\right)=\sqrt{-i\,z}\,\eta\left(z\right)$$ この式の$z$に何を代入すれば良いのかが問題です。最初は$\frac{a}{\pi}=\frac{\pi}{b}$などを試していたのですが、式のあちこちに虚数単位が残りうまく行きませんでした。そもそもそれだとイータ関数の引数が実数になってしまい、定義域を外れているのですね。というわけで何か虚数を$z$に代入する必要があります。そこで安直に両辺に虚数単位をかけたものを代入してみるとビンゴでした。
EM:eta(-1/z)=sqrt(-%i*z)*eta(z);
C1:%pi^2=a*b;
C2:C1/(%pi*b)*%i;
$EM$の左辺の$z$に$C2$の左辺を、$EM$の右辺の$z$に$C2$の右辺を代入します。
EM2:ev(lhs(EM),z=lhs(C2))=ev(rhs(EM),z=rhs(C2));
イータ関数をその定義で置き換えます。
EM3:EM2,eta(z):=exp(2*%i*%pi*z/24)*product(1-exp(2*%pi*%i*z*n),n,1,inf);
C3:(b*%pi/C1)^(1/4);
$C3$の左辺と$EM3$の左辺をかけ、$C3$の右辺と$EM3$の右辺をかけたものは等しくなります。
lhs(C3)*lhs(EM3)=rhs(C3)*rhs(EM3);
%*%pi^(1/4);
これで証明は終了です。簡単なものでもちゃんと証明できると嬉しいですね。
ところで途中で現れた$EM2$に対して$C3$を掛けて整理するとイータ関数に関する対称な式が得られます。やってみましょう。
lhs(C3)*lhs(EM2)=rhs(C3)*rhs(EM2);
%*%pi^(1/4);
デデキントのイータ関数の保型性を出来るだけ対称な形で書こうとすると上記の式が綺麗ではないでしょうか。もちろん$a,b$の条件は$a,b\gt 1$, $a\,b=\pi^2$です。ただこんな感じで書いてある例は見たことがありませんが、、、。